植物は、土壌中の水分や養分を根から吸収して、生長していきます。土壌中の養分を補給する役目が「肥料」となるのです。

有機栽培の場合、有機肥料を使用します。有機物がゆっくりと分解され、植物に必要な養分を作り出します。根っこはゆっくりと養分を吸収し、葉っぱで太陽による光合成を行い、ビタミンなどの補給をし、鮮やかな緑色などに色づきます。また、土壌中では有機肥料中の微生物の代謝物などにより、土の粒子は団粒化して大きくなり、フカフカの土となります。すると、根は伸びやすい環境となり、ゆっくりと分解される養分を求めて、長く丈夫に生長していきます。

一方通常の栽培の場合、化学肥料を使用します。植物に必要な窒素、リン酸、カリウムなどが直接配合されているので、すぐに根から養分が吸収され、植物はどんどん生長していきます。そして、葉っぱでの光合成などの栄養補給が不十分なうちに収穫さてしまう事もあります。また、土の粒子も細かく、速効性のある肥料により根は養分を求めて生長する必要がないため、短くて細い根っこになりがちです。

ゆっくりと野菜本来のペースで栄養補給をしながら生長していく、有機栽培。速効性のある肥料を使用した促成栽培により、グングンと生長していく通常の栽培。きゅうくつな思いをして育った野菜よりも、伸び伸びと育った野菜の方が、しっかりと根から養分を吸収し、光合成による栄養補給も十分に行えて、細胞組織も密となり、食感も良く、貯蔵性にも優れた野菜になるのです。

有機肥料中の微生物の代謝物による、養分の補給

化学肥料による、直接的な養分の補給

土壌からは主にミネラルや　　　　　水分を補給
←短期間　　　　　ゆっくり→

光合成により、主にビタミンを　補給するとともに、色づく
　←短期間　　　　ゆっくり→

【 有機栽培 】
土の粒子は大きく、根は伸びやすく、じっくりと生長

【 通常の栽培 】
土の粒子は細かく、根は伸びにくく、促成栽培により徒長しがち

より自然に近い状態で栽培するには、その野菜にあった時期、及び環境で栽培することが必須となります。化学的なものを使用せずに自然の力に頼って栽培した有機野菜は一般に、色鮮やかで、風味も良く、栄養価も高いのです。その秘密は、「土壌」にあります。

　有機栽培だと、どうして美味しくなる？

このように、「有機栽培」以外は国の認証制度や商品への表示規制（農林水産省のＪＡＳ法）などはありません。「有機栽培」は原則的には化学的なものは一切使用しない（但し、緊急時には指定された３０種類の農薬の使用が認められます）栽培方法なのです。

有機栽培や減農薬、無農薬栽培などの栽培方法を耳にしますが、それぞれどのような栽培方法かご存知でしょうか？

　減農薬や無農薬栽培との違い

以上の事を遵守し、全て記録として残しており、有機ＪＡＳの認証を取得したものだけが、「有機野菜」とか「有機栽培」とうたう事ができ、有機ＪＡＳマークを商品に表示する事ができるのです。

化学的に合成された肥料や農薬の使用を避け、より自然に近い状態で、健康な土壌作りによる、土壌の力を活かした栽培を行う、環境に配慮した昔ながらの栽培方法です。

知っておこう！ /　聞いた事はあるけれど、どういうもの？